カウチンセータープロジェクト 神話の衣服
カナダ大使館高円宮記念ギャラリー(東京)
2010
ワタリガラス、シャチ、クマ、ワシ、ヒト、川、山などカウチンセーターやトーテムポールに描かれた模様は、彼らの祖先の記憶であり、神と大地に生きる物や目に見えぬ心を長い歳月に渡ってつないできた。生き物は大地と森と海と川と共にあり、人も動物も目に見えないものも、あらゆるものは混沌と秩序の時の中にある。
大地から生まれ大地に還る生き物たちの神話の時は、私たちが生きる21世紀の今でも、何処かの森や海で今でも続いている。すべてが大地から生まれ、大地に包まれ大地と共にあるために、私たちは、森の海の川の動物の言葉に耳を傾けなければならない。
目に見えるものに価値を見いだす社会と、見えないものに価値を見いだせる社会。私たちは長い歳月のなかで物事を感じ、見つめ、そして、神話の時代に生きた言葉を受け取り、今に生きる言葉にかえてゆかねばならない。
神話の羊毛布:アート
カウチン族の人々は、尊敬を集め尊ばれる人を特別な意味をもつ儀式として羊毛の布で包み、彼らの魂を守り続けてきたという。神話の羊毛布(ブランケット)は、大地から生まれ大地に還るワタリガラス、シャチ、クマ、ワシ、ヒト、川、山、などカウチンセーターやトーテムポールに描かれた全ての生き物達の魂を包む羊毛の布(ブランケット)として、神話の時代に生きた言葉と記憶を現代に語りかける。
カウチンセーター×眞田岳彦:デザイン
カウチン族の人々が祖先から描き継いできた動物の物語と模様は、神とともに大地に生きるもの達への重要な教えである。人々の想いと教えが編みこまれたカウチンセーターの袖や身頃、襟などを、日本で生まれた羊の毛とつなぎ合わせた。1万数千年前にユーラシア大陸から北アメリカ大陸に渡ったモンゴロイドのように、同じ祖先をもつ神話と魂が今再びひとつにつながり、大地から生まれた神話のデザインが生まれる。
神話をつなぐ羊毛:エデュケーション
カウチン族の少女から手渡された小さい羊毛のニット。それに日本の若い女性達が日本で生まれた羊の毛を紡ぎ、編んだ作品をつないだ。大地から生まれ大地に還る生き物達の神話は、カウチン族の少女から日 本の少女たちに引き継がれ、未来につなぐものとして新しい出会いと物語を伝える。
伝統のカウチンセーター:トラディション
カナダ・バンクーバー島では長きにわたり人々が伝統的な編みの技術を受け継ぎ、神話を暮らしの中に活かしカウチンセーターを編んできた。バンクーバー島カウチン族の人々が編んだ資料価値のあるジェニュイン・カウチンセーターを紹介。